ホリーたたみのレースリポート

98 Q!MARU SPECIAL CUP 第3戦  1998年9月23日


またまた、台風直撃か?
最近のインターネットは便利な物で、ピンポイント天気予報で晴れることが確認できていた。
しかし、気まぐれな菅生の天候は各レースに影を落とすことになった。

今回のレースで変わったこととはたくさんあった。
まず、軽量クーリングファンへの変更が認められたことである。これは、クランク軸の回転質量を減らすことが出来るのであるが実際のところ確実なタイムアップに結びつくかどうかは疑問である。というのは、0発進ならまだしも高回転で殆ど回転変化がない場合はどの様になるかがデータ取りされていないのである。これを装着したのは鈴木、堀籠、相沢であった。さらに堀籠は長年使ってきたカウルをサイドボックスに変更したのである。これによって軽量化が進んだはずである。
ドライバーも変更があった。前回の耐久レースのショックから立ち直れないシェー大坂は、レンタルクラスに出場するという暴挙に出る。代わりにステアリングを握るのは女性ながらベテランの家喜。健闘が期待される。前回の耐久でエンジンを壊してしまった大場は今回は残念ながら欠場である。

フリー走行
堀籠も千葉もマシンのあたりを出すためにスロー走行を続けている。一人好調なのは前回耐久で優勝して波に乗っている鈴木。ささき恵一はマシンの加速に不満のようだ。大坂は家喜につきっきりである。

タイムトライアル
ダントツの速さを見せつけたのは鈴木。気温が上がり湿度も高い中で2秒台に入れてきた。堀籠、千葉はタイムをあげてくるものの3秒台前半というあたり。そして、4番手には山中が割って入って、ささきは5番手に低迷。駆動系部品を交換してきた相沢も伸び悩み6番手。慣れないマシンの家喜は7番手と苦戦した。ピットでマシン調整した堀籠は、鈴木の後を付いていこうとコースイン。その1周目に鈴木は突然スローダウン。ピットロードでマシンが止まってしまった。あまりにもニードルを絞りすぎた結果のようでピストン頂部に穴が空いてしまったようだ。しかし結局、鈴木のタイムを越える者は出てこなかった。


予選ヒート
鈴木は「初ポールが幻のポール」にならずに済んだようだ。なんとか復旧してグリッドにマシンを進めてきた。
スタート同時にトップ争いは熾烈になる。ストレートの延び、加速ともに優れている鈴木に対して、コーナーで何度も仕掛ける堀籠。しかし、なかなか順位を入れ替えることが出来ない。なんとか直線でスリップについて近づき、3コーナーで鈴木をパス。後半は鈴木のペースが上がらず堀籠がトップでチェッカー。しかし、この後の決勝は長丁場。何が起きるか判らない。


決勝ヒート
午後に入って、レンタルの決勝が行われるあたりから、なんと雨が降り出して路面を濡らしてしまった。それほど強いものではないが確実にウェットコンディション。各チームともタイア交換、雨対策に大忙しとなる。ここで一人レンタルレースを眺めながら考え込むドライバーがいた。雨は殆ど止んでいた。堀籠は雨が上がりそうな気配を察知するとリアタイアだけレインに交換して状況を見守っていたのである。案の定決勝レース走行中の大坂からなにやら手で合図が・・・これを見た堀籠がドライタイヤへの決断をしたのであった。
その後の各ピットは、その情報を聞きつけ大混乱となる。結局、レインタイアで決勝に望むのは、千葉、山中の2名となった。
サイティングラップでの感想は、低速コーナーでは水たまりがまだあるので序盤はつらいな、というものであった。ポールの堀籠はフォーメーションラップの前に千葉にささやく。「ドライタイアでは、序盤は5コーナー、Zコーナー、10コーナー出口、12コーナーは全然グリップしないから思い切りイン側からいってやれ」と。
いよいよフォーメーションラップ。やはり先ほどと状態は変わっていない。ポールの堀籠はイン側のグリッドのため注意深くアウト側のラインから、グリッドに車を運ぶ。当然、若干アウト側に向けてである。グリーンシグナルでレーススタート。堀籠は上手くスタートを切ることが出来たが、やはりZコーナーで大きくラインをはずしてしまった。そこを間髪入れずに抜いていったのは山中。オープニングラップでレインタイアの山中がトップに立った。そして、2周目。同じくレインタイアを装着した千葉が2番手に上がり山中を追いつめる。ドライタイアの堀籠、鈴木、ささきは3番手争いとなってしまった。中盤までに千葉が山中をかわしてトップのリードをどんどん広げ始める。しかし、そこからタイムペースがどんどん変わっていくのである。路面が乾くにつれて、バトルしているのにも関わらず3番手争いの鈴木、堀籠とトップ、2番手の差が見る見るうちに縮まってきたのである。相変わらず、ストレートスピードに勝る鈴木を堀籠がコーナーで追いつめる。しかし、その差は徐々に広がり、鈴木は追撃を振り切った。さぁ、今度はレインタイア勢に追いつくかどうかである。山中を軽くかわした鈴木は19周目千葉に襲いかかるがコーナーグリップのない千葉はストレートでは逆にタイアにパワーが喰われているらしくスピードの伸びが全くない。2コーナーでインに入った鈴木がトップに立ち、初優勝を飾った。