ホリーたたみのレースリポート

98 Q!MARU SPECIAL CUP 3時間耐久  1998年12月23日


今回の目玉は、ゲストの影山正美選手。そして、F1カメラマンの「けんさわ」こと澤田賢志の参戦だろう。 影山選手はフォーミュラニッポンでもお馴染みの選手。仙台のSUGOでも雨の優勝は記憶に新しい。けんさわ も「シューマッハにカートで3度勝った男」である。侮れない。
そして、東北オールスターズ。シビック東北2年連続チャンプの水越真一、トヨタ1600で活躍の高橋主(つかさ)、雨のドリフトAE86のサクマタツヤ、スターレットチャンプの宮崎剛司である。

さて、前回のスプリント優勝のTeam KUMI & 畳のほりごめRacingは、堀籠号、千葉号の他にもう1台のエキスパートマシンを送り込んだ。女性ドライバーの「レンタルプロ」の家喜選手のチームである。影山選手はささき 恵一のチームに、けんさわは堀籠号に、千葉号には高橋主が乗ることになった。前回耐久優勝の鈴木号には、サクマタツヤ。各チームが期待と不安の面持ちで予選を迎えた。

今月のコース改修で、細かいところが変更されたSUGO国際カートコース。一番の変更は路面の再舗装であろう。まだ、ホコリっぽくグリップの低下が目立ち、各チームがタイアの温度が上がらずタイムを延ばしにくくなった。その中で、やはり経験と体重を活かした大泉たくまの鈴木号がいち早く4秒台に入れてくる。それに続いて、不慣れなコースでけんさわがタイムアップ。鈴木号を上回り、トップタイムを叩き出す。3番手のタイムは千葉号。そして、期待の影山選手は・・・いない。。。まだ、走行をしていないのだ。残り10分の段階でコースイン。しかし、キャブの調整に手間取り1周しかタイムを取ることができなかった。ここで、鈴木号が 3秒台突入。堀籠号を抑えてポールポジションを獲得。3台目のTHRの家喜号は、マシンの挙動の違いにとまどったのか、9番手に甘んじた。しかし、各マシンともグリップ感が無く、決勝に向けてのセッティングが難しいようだ。そして、コース改修の影響で、思いのほか10コーナーが変わっている。さらに、今までグリップしていたはずのラインがグリップしない。ドライバーの腕も試されることになった。

レンタルクラスでは、レンタル帝王の川崎・中里組がコースレコードで予選トップ。耐久2連勝を狙っている。
その、川崎が魅せてくれたのはタイムアタック大会の決勝レースであった。影山選手とのレースであるが、1周目にアクシデントに遭いながらも後方から追い上げ、最終コーナーで影山選手のスリップに付き、メインストレートで寄せてくるのをものともせず1コーナーにイン側から並んで飛び込んでいく。影山選手も引かない!が、ここは川崎の勝ち。そして、その後の2周を凌いでトップでチェッカーを受けた。

決勝は、エキスパートクラスの2時間後にレンタルクラスがコースインするという前回と同じ形式。影山選手は 残念ながらスケジュールの都合で、決勝を走ることはできなくなってしまった。
スタートでポールポジションの鈴木号の大泉たくまが加速せず、大きくポジションをダウンしてしまう。そこで トップに立ったのがTeam KUMI & THR & けんさわの澤田。後方がバトルしているスキにリードを広げていく。 しかしTHRの試練は、既にこの1周目から始まっていた。3台目のエントリーだった家喜号が4コーナーでクラッシュ。ステアリング系の破損でピットイン修理を行うことになってしまったのである。これで、THRの表彰台独占の野望は消える。修理を完了してコースに復帰するが大きなロスを抱えてしまった。
最後方からスタートしたMVプロジェクトDSレーシングの佐田と大泉のバトルが始まる。両者とも体重と全日本クラスの経験を生かし、2番手争いまであがってきた。しかし、トップの澤田とは9秒ほどの差が付いてしまった。

25分ほど経過した時点で、トップ走行中の澤田が突然スローダウン。よろよろとピットに戻ってくる。どうやらガス欠症状に似ているが、チームはキャブを調整し直してコースに送り出す。何度かピットインするが、原因が分からず、キャブの分解が始まる。なんと、大きなダストを吸い込んでいたのである。これに手間取り、こちらも大きく後退してしまった。大場号もキャブの調整のために何度もピットインを繰り返し、順位を大きく落としてしまう。この時点でのトップ争いはささき号と鈴木号。3位争いが千葉号とPromptRacing & YSP町田中央の上山号。トラブルを解消した堀籠号は、他のマシンよりも1秒以上速いラップタイムで周回するが、序盤の遅れは大きすぎる。

THRのトラブルはまだ続く。1時間15分経過後、杉山からステアリングを渡された堀籠は、最初のブレーキングでペダルが遠くにあることに気が付く。見ると、シリンダーのレバーとワイヤーを止めているピンがはずれているではないか。このあと、4周にわたってピットにトラブルを報告しながら、手でブレーキを操作して走行を続ける堀籠。我慢できずにピットイン。またも、大きなロスをしてしまう。

2時間経過時点で、ローリングが始まる。レンタルクラスのコースインである。GT500、GT300さながらのレースである。この後、集団のトップに躍り出るのは澤田。トラブルが悔やまれる。レンタルクラスは、川崎・中里組がトップを快走。その後方から追い上げるのは、シビックチャンプの水越。ささき号をブロックする仕草さえ見せてくれた。しかし、その川崎・中里組はトラブルでピットイン。順位を落としてしまう。
残り1時間のエキスパートクラスは、まだまだドラマがあった。トップを走行していたのは、ささき号。そのささきは、目を潤ませながら「今度は行けるかもしれない」と語る。しかし、ここに迫ってきたのは大泉たくまの乗る鈴木号。序盤で熱いバトルを演じた2人である。スピードの伸びは鈴木号にあり、順位が入れ替わる。

そして、3番手走行中の上山号を狙う千葉号にもトラブル発生。THRのトラブルは4度目である。今回は、アクセルワイヤが切れてしまったのである。リタイアを覚悟した千葉に対して、春名は右手でワイヤを引きながらコースに復帰していく。堀籠は、ついに2秒台に入れてきた。この時間、全車中でもトップタイムである。
さて、残り2分のところで、なんと2位走行中のささき号がガス欠でストップ。佐田が押しながらチェッカーを受けるも3位に転落。上山号が2位でチェッカーを受けた。千葉号は4位であった。

ホリーたたみのコメント
「考えても見ないトラブルで脱落してしまって、澤田さんには申し訳なかった。でも、全車をラップできたから 良しとしなければならないね。耐久レースは本当に難しいと感じたよ。だって、ほんの小さな部品で、ほんの小さな見落としでやられてしまうんだからね。でも、今度は勝つよ」


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