変速域の考え方


例のページ(って言ってもわかんねえよ(^^;)で、いろいろな反響がありました。
で、せっかくだから有効活用していただくために、
変速の考え方をちょっと書いてみようと思いました。
なにせ、未だに
「ウェイトを軽くすると加速が良くなり、重くすると最高速が伸びる」
といった間違った解説をしているページが多いですから(^^;
そして、計算で出てくる回転数やウェイトローラーの重量は
あくまでも「参考値」ですから
それをどう理解してセッティングにあてていくかは
あなた次第です。
また、このページを秘密にするとか
読みっぱなしにする人はここから先を読まないでほしいです。


私が望むのは、セッティングを「技術力・知識の差」ではなく
勝負の道具としてオープンにすることですから。。。

是非、感想や意見、質問を会議室に書き込まれることを希望します。


まずは、エンジン性能曲線から見ましょう。
このエンジンはCY90といって、
FK-9のエンジンそのものです。
エンジンが違っても、特性は同じなので
スクーター系のエンジンでは
全て同じように考えることが出来ます。


左側縦軸は出力です。右側縦軸はトルクです。
どのように違うのかは、
とりあえずここでは解説しませんが
両方ともエンジンの力だと考えて下さい。

縦に線を入れましたが、
青は一番下に出ているように
最高出力と最大トルクの部分です。
例えば、赤線の6000回転のところを見て下さい。
たかが1000rpmですが、出力にして約1馬力も違います。
同様に、7500rpmと500rpm上がっただけで、約0.5馬力の差が出ています。

この7000rpm付近をどのように維持できるか、
つまり変速する際のポイントとするか
が重要です。

エンジンによって、この回転数は違うのが普通です。
また、同じ形式のエンジンでも、少しずつ違うのも普通です。
だから、何でもかんでも7000rpmと覚えないで下さい。
逆に言うと「考え方」はどのエンジンでも同じなのです。

これだけは、自分のエンジンを「知る」必要があります。

ちなみに、このグラフに表されている数値はエンジン単体の考え方なので、
パーツが変わっても傾向は全く同じです。
当然、駆動系のパーツによって変化することはありません。
エンジン単体の特性が、駆動系パーツで変わるのではなく
駆動系パーツによってエンジン特性に合わせる・・・
といった方が正しいかも知れません。
次に、駆動系を含めて見ていきましょう。
上のグラフのエンジンを
JOG90として使った場合の走行グラフです。
ここでは、3種類の線が書かれています。
「最大・最小」と書かれている直線は
右側縦軸の回転数と下横軸の車速との関係
を表しています。

なぜ2本有るかというと、
プーリーによって変速している為
全く変速していない低速ギア状態(最大)と
完全に変速している高速ギア状態(最小)が
あるわけです。
(変速中に関しては後述)

車速が変わっていくと同時に、
最初で説明したようにエンジン回転数も変化していきますから
(変速していない場合)エンジンの出力も変わってきます。
それが、2つの山型のグラフです。

左側縦軸と下横軸の関係です。
2つの山の頂点を見ると、駆動力で2倍以上違うのが判りますね。

右肩上がりの0%.10%.20%と書かれている曲線は走行抵抗です。
エンジンは抵抗(負荷)がどのくらい有るかによって
回転数が決まってしまいます。
当然、負荷が高いほど回らなくなりますよね。
ここでは、あまり意味をなさないので後回しにします。
ちょっと、色を付けてみました。
0(ゼロ)発進した場合は
全く変速していないはずですから、
最初の「最大」の直線の通りに
回転数と車速が上がっていきます。
どこかで変速がはじまって変速終了すると
「最小」の直線の通りに
回転数と車速が上がっていくことになります。
いつまでも上がっていくかというと、そうではなく、
このマシンの走行抵抗0%まで車速が伸びていくことになります。
0%の曲線と、山形のエンジン出力曲線の交差するところ。
つまり、80Km/hが「このマシン」の最高速度になります。
(あくまでも、考え方ですよ。。。(^^;)

で、変速中は。。。というと、
実は車速だけが上がっていき回転数は殆ど変化しません。
これを図にすると以下のようになります。
これが、6000rpmで変速させた場合の
車速変化です。
(実際には変速中でも回転変化はありますし
クラッチミートのことを考慮していません)
エンジンが6000rpmまでは
最大変速比(低速状態)のまま
エンジン回転に比例して
スピードが上がっていきます。
6000rpmに達したところで、
ウェイトローラーによってプーリーが押されはじめ
ほぼ回転数は一定で、変速によってのみ車速だけが変わっていきます。
(赤の線)
その後完全変速したところでエンジン回転に比例して
最小変速比(高速状態)でスピードが上がっていくことになります。
もう少し詳しく見ていきましょう。
低速部分だけを抜き出しました。
このエンジンで
変速比固定(低速側)の場合は、
理論的には最高出力が得られる回転数は
緑の線を左から真下、
右へと辿っていって6500rpmあたりだと言えます。

つまり、全く変速しない場合は
後輪駆動力80
車速25
回転数6500
というわけです。
これは、あくまでも「理論値」です。
実際は、加速時の抵抗が大きく、ベルトやクラッチがスリップするので、
もう少し高い回転数が必要になるはずです。

一応、想像で走行抵抗0の場合を赤で示しました。
だいたい、
後輪駆動力58(?)
車速42(?)
回転数12000rpm(?)
なんか、辛そうですね。(^^;
同じように、高速部分です。
これによると、
このマシンの最高スピードは赤の部分から
(走行抵抗0の場所)
8000rpm で 80Km/h越 っていうあたりですね。
ここで、最高スピードを上げたい場合は
ファイナルの減速比を変えます。
つまり、FK-9やPKではスプロケットの変更ですね。
もし、ギア交換が出来る場合は、
ハイギアの組み込みです。
このスプロケ編は、ちと後述します。
(殆どのレースでは、ギア交換は禁止されているはず)
実際のセッティングでは、
クラッチがありますから
スタート時(0km/h)は、0rmpからの直線ではなく
左の図のようになります。
この場合は、
「エンジンが」3000rpmの時にクラッチがミートして
マシンが動き始め
4000rpmの時にストールする場合です。
(クラッチが完全に繋がること)
この図で誤解しやすいのは
ストール回転数を上げていって6000rpmにしても良いんじゃないか?
という部分です。
これは、実践としては、全く不可能な領域なのです。

例えば、実際には下り坂などで負荷が小さい場合は
早めに変速が始まってしまいます。(理由は後述)
どんなに狙っても、変速ポイントの下の回転数でストールさせないと
変速中に回転が上がってからやっとストールするという状況がおきます。

変速後にストールするといった強いスプリングの場合は、
殆ど走らないと思って間違いないです。



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