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Q!!Maru_2005_8時間耐久レース​/レースリポート​/11月6日 のソース :: TACKMIX PARK

xpwiki:Q!!Maru_2005_8時間耐久レース/レースリポート/11月6日のソース

  
さて、決勝当日。

毎度のことだが、まずはオフィシャル(的)ミーティング。~
コース長の谷津さん、パドック長の菊地さん、そして全体をコントロールしてくれるDAIちゃん。~
あ、それと各ポストのマーシャル達。

今回のレースについて、あらためて説明をしていく。~
まずは、安全第一。それが基本です。~
これが守られない場合は、レギュレーションがどうのとか言っている場合ではない。~
レースの結果と安全とのどちらを優先にした行動なのか?これをみてもらう。

週間天気予報は、この日を雨にしたり晴れにしたり悩ませていた。~
当日になってのピンポイント予報は、もっと悩ましい。~
18:00から雨の予報。~
もし、これが本当なら、レース終盤で大変な事になりそうだ。

放送関係の設営は、先週のレース実況のままだったので問題はなかった。~
が、やっぱり忙しいのは事実で、細かい確認やら自分のチームのことなどなかなか目がいかない。~
その点、チームのみんなは良くやってくれている。~
ドライバーは、毎年恒例の尊師杉山とカリスマ溶接師春名、それとKSDP塗り職人岩崎が~
つとめる。~
ウチのチーム監督は、人選にはやたらと厳しく、ただ速いだけのドライバーでは納得しない。~
チームとはいえ、ドライバーは走りだけではダメなのだ。~
マシンの状況はもちろん、他のドライバーのスティントではピット要員もする。~
そのためには、必要な準備を的確に理解して、確実に行動してもらう必要があるのだ。~
遠慮がちでも困るし、かといって図々しいのも困る。

コースインの時にピット出口で車検シールを貼るのも私の仕事。~
今年は、パドックでの事前チェックができなかったのだ。~
タイムアタックが始まるが、昨日のスピードがない。~
タワーで喋っていながら心配になってくる。~
実際に乗ってみると、なんかフレームの反応が今ひとつ。~
そして、回転数もやはり予定よりほんの少し低いのだ。~
4秒台のタイムしか出ず、4番手の位置にいる。~
監督には「なんとか3秒に入れて欲しい」と言われる。~
ここでウェイトセッティングを変えるかどうか、そしてタイアセッティングを変えるかどうか悩む。~
尊師杉山は「悩んだときには、攻める方向で行く」と言われるが、~
セッション終了間際に、その時にドライブしていた岩崎が3秒台に入れる。~
なおさら悩んだのだが、そのままで行くことにした。~
これより回転数を上げるとなると、去年と同じウェイトセットになってしまうのだ。

決勝のスタートは、いつものように尊師杉山に任せる。~
無駄なバトルに巻き込まれることなく、SUGOを安定して周回して欲しいからだ。~
2番目には岩崎を出すことにしている。~
第2スティントは給油があるのだが、それまで私はタワーにいるからである。~
私のスティントには、変なピットワークを入れたくないのだ。~
また、3スティント目になると、マシンの変調も出てきやすい。~
これを感じるのは、やはりマシンオーナーでしか難しいのだ。

レースは定刻スタート。が、ここに例のGXがいない。~
タイムアタックでマシン不調となり、ピットスタートとなってしまったのである。

スタート時点を切る各マシン。~
尊師杉山は3位をキープするも、1台にかわされ4位になってからは~
前方のハイランド組3台から徐々に離れていく。~
そして、5番手はこちらも離れていく。尊師のタイムはなかなか上がらない。~
リアタイアだけ旧型を履いている影響はどうなのか?~
尊師は手振りでリアタイアの交換を指示してくる。~
次のピットインでは、9リットルの給油と、タイア交換が必要となった。~
タイア交換は、思ったより早く済み、給油の時間の方がかかってしまう。

岩崎がコースインして、しばらくはタイムが上がる。~
しかしスティント終盤、タイムにバラツキが出始め岩崎はタンクのあたりを気にしている。~
加速不良のようなのだ。これは困った。~
この症状は、FK9では特有の症状で、ピストンの熱によって焼き付き寸前の状態なのだ。~
が、現在のドライバーは岩崎。~
彼は、このFK9の悪魔の喘ぎを知らない。燃料が上がってきていないと思っているのだろう。~
このまま走らせても症状は改善しないし、悪い結果もあり得る。~
走行時間は若干短いが、ピットインさせドライバー交代をすることにする。~
第3スティント担当の私は、急いで準備をはじめ、それ以外の可能性も考えてみる。~
ピットインしてきた岩崎は「加速ポイントで燃料が来ないような失速がある」という。~
ビンゴだった。~
キャブのLoはいじらずに、そのままコースインした。

既に、回転はかなり落ちてきている。~
エンジンにダメージを負っているかも知れないが、それは確認のしようがない。~
走りながら、吸気口の向きを変え、Hiニードルを合わせていく。~
リッチにするポイント、リーンにするポイント。~
どうやら、このままで行けそうだ。。。と思ったときに、マシンの挙動が急におかしくなる。

実は、乗り込んでからすぐになんとなくおかしな感じをもっていた。~
どこのコーナーでも、いつも挙動が違っている。~
しかし、キャブセットのことを考えていたので、あまり大して気にしていなかったのである。~
セットを終了して、さぁ、ここからと9コーナーで少し内側を走ったときに~
「ガリガリ」とシートが鳴ると同時に、お尻に嫌な感触。~
なんと、シートのトラブルが起こったようなのである。~
ところがこれが乗っている状態では、確かめようがない。~
底面が割れているかどうかなど手をあてるわけにもいかない。~
リアステーがあることは確認できたが、効いているかどうかは判らない。~
とりあえず、ピットに手振りで伝えようとするが、彼らにしても~
まさかシートのトラブルだとは思わないだろうから、伝わらない。~
仮に伝わったとしても、対策は取れないかも知れない。~
タンク寄りに座り、体を固定できない状態で、数周走行を続ける。~
ステアリングにしがみついている状態である。~
が、我慢できずにピットイン。~
急いで、大声で「シートのトラブルだ」といいマシンから離れるが~
上から見た状態では何も異常がない。~
一瞬、自分のドライバーとしての感覚を疑い頭の中が真っ白になる。~
そんなはずはない・・・と思いながら、シートに手をやると前のボルトが動く。~
なんてことだ。。。シートのボルトがフレーム側の穴に入っていなかったのである。

裏からのぞき込み、修復を始めるが、路面に当たったボルトはなかなかナットに咬まない。~
ゴムブッシュが一部欠けている。~
そうか、これがフレーム側の金属部分とシート自体をタダ単に「挟んでいた」だけだったのだ。

去年までの車検では、かならず台車に乗せた状態で下からも覗いていた。~
しかし、今回はピットロードで上からだけのチェックだった。~
予選後に、ウェイト交換をすれば当然シートも外すから気が付いた。~
そんなことを悔しく思いながら、なんとかナットを咬ませてコースに戻る。~
マシンの挙動は安定し、タイムが戻る。

走りながら、情けなくなってきた。~
こんな初歩のミスと、データの読み違い。~
ピットサインで戻ったが、落ち込んだ気持ちは体を重くしていた。

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実際のところ、そのあとのスティントでは、もうどうにもならない状態になっていた。~
トップ3台とのラップ差は、1周あたり2秒以上。~
4位の単独走行中。5位はこちらもラップタイムで開きがある。~
とにかく、何かが起きない限り、この順位の変動はあり得ないのだ。~
チーム監督は、それでも私に何かを期待している。~
どうにもならない、、とは言えないのだが。

エンジンにもダメージがあるだろう。~
最後のスティントにどんな気持ちで走り出せばいいのだろうか?~
6時間40分の段階で、前走者の岩崎がマシンに乗り込んだ。~
つまり、私の仕事はチェッカーへの少ない走行時間だけである。~
マシンの状態は、ドライ状態でトップ3台から5秒落ちまで来ていた。

しかし、真っ暗になったコース上に、異変が出てきた。~
なんと予報通りの雨が降ってきたのである。~
この雨が、どれだけ降るのか?~
残りの時間はまだ1時間以上有る。1スティントは55分。~
岩崎のタイムはどうか?残りの数分をどうするか?

いきなりの展開だが、ピットの連中はベテラン。~
すかさずインパクトドライバーと、タイアエアのチェックを始める。~
私は、ノイズボックスの雨カバーと、ガムテープ、オイルスプレー。~
全て防水のためだ。~
残り55分まで引っ張って、岩崎をピットインさせる。雨は本降りのようだ。~
左リアタイアを担当し、雨カバー・スイッチ防水をすませる。~
が、フロントタイアで手間取っている。2リッター給油してもフロントタイア待ち。~
しかし、全体でのピットストップではかなり早くコースインできた。

自分のスティントで雨が降ってくるなんて、これは最後のチャンスだ。~
が、同時にプレッシャーもかかっている。~
尊師杉山に「雨ライン覚えている?」聞かれる。~
大丈夫だと答えたが、本心ではない。~
古いタイアだったことを忘れて10コーナーに進入。スピンをする。~
すぐに戻るが、2〜3周はタイアのグリップがない。~
マシンの感触を確かめながら、4周目からアタックし始める。~
ふと気が付くと、なんととんでもないタイムで走っていたのだ。~
13〜15秒台?トップが22秒台なのにである。~
こちらは、立ち上がりもパワー感もなく、トップスピードもないマシン。~
インフィールドだけで稼ぎ出しているタイムなのだ。

コース上で出会うマシンが、かなりのスピードダウンをしている。~
その中で、1台の強敵に出会った。それまで3位を走行していた7号車である。~
このマシンは、手こずる。~
ストレートも立ち上がりもまだまだ力強いのだ。~
本当は邪魔をしたくないし、こちらのタイムも上がらなくなるので~
離れて走行したいのだが追いついてしまう。~
しかも、インフィールドで追いつくので始末が悪い。~
特に、最終手前の14コーナーでかわすのだが、立ち上がりイン側で一気に抜かれる。~
それを何度も繰り返したのだが、相手はピットインのタイミングだ。

トップのマシンにも、コース上で何度か出会う。~
スピード差がありすぎる。~
ドライで5秒遅れが、雨で7秒以上速く走れている。~
この時ばかりは、誰ともなく感謝の気持ちでいっぱいになった。

  

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    • 現: 2007-03-27 (火) 13:46:33 ゲスト