海外版の謎
2006/12/26


会議室に書き込んで頂いたおかげで、新たな謎が見つかりました。
海外版についてはあまり好きじゃなかったので深く検証していませんでした。

海外向けの音源は完成型としてはいくつか有り、まずTV用主題歌
それと、レコード発売用として、主題歌 と ULTRA SEVEN とディスコウルトラセブンです。
TV用の主題歌は、日本と同じTV用のカラオケを使い子門真人の歌唱で録音されました。
レコード用の3曲は、過去にいろいろと解説されているように
全く新しく録音されていたものです。

これまで、日本版と同じ録音方法が採られていたと思いこんでいたのですが
良く聴くと主題歌もULTRASEVENも和声があり
この声も子門真人氏の声に違いありませんから
その音質があまりにも良いのでマルチトラックで録音されたと推測できます。

つまり、今までのレコードのように、カラオケを録音しておき
そのカラオケを再生しながら歌わせて別テープに録音するようなダビング形式では、
ダビングの回数が多くなると最初の音が劣化してしまうのです。
これを避けるには、コーラスグループを雇って一度に録音する必要があります。

例・・・
カラオケに4和声をダビングすると、
1・Aデッキでカラオケを再生して、ボーカル1をミックスして、Bデッキで録音
2・1でできたテープをBデッキで再生して、ボーカル2をミックスして、Aデッキで録音
3・2でできたテープをAデッキで再生して、ボーカル3をミックスして、Bデッキで録音
4・3でできたテープをBデッキで再生して、ボーカル4をミックスして、Aデッキで録音
このようにすると、カラオケ自体は4回のダビングを経験した音となりかなり劣化する。
* これをピンポン録音といいます。

マルチトラック録音とは、
巾広のテープを使い多数のチャンネルを別々に再生・録音する機械で
上記のような4和声録音にしても
1・マルチの1ch 2chにカラオケをダビングする。
2・1.2chを聴きながら3chにボーカル1のみをを録音
3・1.2.3chを聴きながら4chにボーカル2のみを録音
4・1.2.3.4chを聴きながら5chにボーカル3のみを録音
5・1.2.3.4.5chを聴きながら6chにボーカル4のみを録音
6・1.2.3.4.5.6chをバランス取りして再生し、マスターデッキに録音
このようにすると、マスターができるまでにカラオケは2回のダビングで済みます。
* 6の作業をトラックダウンといいます。

注意
上記は、手法を説明しているのであってカラオケが存在していたのか?とか
トラック間のダビングはないのか?などは事実と違う可能性があります。

現実的には、このような機材がある設備を使うのならば、
バック演奏は直接 1.2ch にステレオ収録するのが楽なはず。
ということは、この結果から
海外版のレコード用音源でボーカル入れを前提としたカラオケの類は
存在していない可能性が非常に高いと思われます。
(全くないとは言い切れないのでリストには表記を残しました)

さて、ここで問題になってくるのはULTRASEVENの方です。
(one two three four ・・・ のほうです)
リストに記載したように、カラオケのように聞こえる物が存在しています。
ただ、これは良く聴くとコーラスは入っているので
メインボーカルのみを抜いたバージョンです。
ということは、従来のような重ね録りをしない環境では
コーラスと同一人物の子門真人氏のメインボーカル待ちということは考えられないので
何らかの思惑から(例えば歌詞変更が予定されたとか、イベント用BGMなど)、
完成のマルチテープからボーカルマイナスとしてトラックダウンしたと思われます。

次に、ULTRASEVEN間奏で聞こえる怪獣の声についてです。
前出のボーカルマイナスとメインボーカル入りは怪獣の声のタイミングが違います。
ただし、出だしのタイミングは違っているのですが
その後の間隔は完全に同じなのです。
ここから判ることは、怪獣の声は後ダビング用として
ワークテープなどが作られていた、ということです。
そして、マルチテープ上に録音されていたとすると
マイナスワン製作で鳴き声のタイミングが変わるはずがないので
ダビングで被せていたのだと考えられます。

ただ、問題はこのダビング作業がどのタイミングで行われたのか?
例えば、トラックダウン時にチャンネルがいっぱいで
別デッキで再生しながらミックスしたとすると、
マザー製作時点で鳴き声が入ることになり
鳴き声無しの海外版ULTRASEVENは存在しないことになります。

しかし、マザー製作後に鳴き声をダビングしたとすると
なぜボーカルマイナスの方にもダビングされたのか?が判りません。

私は、タダ単純に間違って録音した物が残っているのではないか?
と、思っています。
前出のように、
マルチにも録音していない、マザー製作で面倒なミックスをする
とは、ちょっと考えにくいのです。


もし、どなたかで
海外版ULTRASEVEN のボーカルマイナス、あるいはボーカル入り
どちらでもいいのですが
怪獣の鳴き声が入っていないバージョンを持っている方。
CDでなくとも、LPやEP、カセットでも良いです。
いらっしゃいましたら是非ともお知らせ下さい。

そのどちらかが見つかるだけで、
両方のバージョンが存在する証拠となり
「リリース直前に鳴き声ダビングが間違って行われたテープがいまだに使われている」
ということと
「マザーを再捜索する必要がある」
という事になるのですから。

Tackmix 追記 2007/4/5

この後、COLUMBIA COCX-34208-10 を聞いて気が付きました。
このCDには、
THE THEME SONG OF "ULTRA-7"
(海外版ウルトラセブンの歌)
(ステレオ)コーラス入りカラオケ
が初収録されました。

そして、これが唄入れ前のカラオケではなく
唄入れ後の「ボーカルマイナス」であることが判りました。

ということは、同様なトラックの海外版ULTRASEVENは
怪獣の声は、マルチからミックスダウンする際に
別のステレオデッキで再生させていた、考えられます。
つまり、メインボーカル入りをトラックダウンする際に
怪獣の声を別デッキでミックスしながらマザーを作り
同様にボーカルマイナスとして同じような方法でマザーを作った。
よって、怪獣の声のタイミングがずれた。
こう考えるのが自然です。

一旦ミックスした声無しものとボーカルマイナスの声無しが存在していて
マスター製作時に両方に声をダビングしているという可能性は
かなり低いと思います。
全くゼロとは言いませんが、怪獣の声無しの両バージョンは
存在しないと思います。
(リスト上は残してあります)


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